リスの窒息

リスの窒息

リスの窒息

突然誘拐犯により身代金を要求された新聞社の投稿課と、狂言誘拐実行を思いついた女子中学生との息せき継がない攻防を描いたちょっと変わった誘拐ミステリ。例によって石持作品らしい変てこ設定のお話で広義のクローズドサークルにもなっています。何故なら普通なら警察に通報するはずの新聞社が警察に通報できないから。ここのとこの設定もよく考えてるなあと思いました。ただ、視点が新聞社サイドと女子中学生サイドと両方なので誘拐が狂言であること、犯人が誰であるのかなどは全て序盤で書かれていてそういう意味ではミステリ的にはちょっと弱いかなーとも感じました。おちで大どんでん返しが待ってるわけじゃないし。ミステリというよりはサスペンスって言ったほうのが近いかも。途中の展開は面白くて好きだけど。
それにしても後味悪いです。何故中学生が狂言誘拐を思いついたのかという動機は序盤で語られるんだけどこれがまたなんともいえない感じ。難しい世の中ね。