2026年7月の読書まとめ
読んだ本:11冊
読んだページ:3347ページ
ナイス:243ナイス
#読書メーター
7月は思ってたよりも読むことができてよかった。ここのところ、どうも眠くて体力なくて思うように読書が進まないことが少なくないがそんな中では読めた方ではないかと思う。
キム・ユダム『ケアする心』はケア労働をテーマにした短編集だ。ケア労働にまつわるあらゆることへの解像度が高くて面白いと同時にとても怖い本だなあと思った。ケア労働を担うのは嫁であり母であり娘だ。そこに男性はいないし想定されていない。一つ一つの話は短くすぐ読めるのだが読後感はお腹いっぱいである。みっちり詰まった物語たちだから。それにしても韓国と日本はまるで双子のように女性が置かれてる状況が似てるなあと韓国の小説を読むと感じる。ゴリゴリの家父長制が幅を利かす両国。少子化待ったなしなのは当然だろうなと思う。
道尾秀介『きこえる』は新感覚ミステリ短編集だ。どこが新感覚かというとQRコードがついていて読み込むとYouTubeが立ち上がり音声を聞くことができる。聞くことで伏線回収&真相解明できて物語が完成するのだ。これまた道尾さん面白い仕掛けを考えたなあ。読書を新しい体験へと書き換えるトリッキーな試みだ。私はこういうの嫌いじゃないです。ただ単に変わったことがやりたいだけではなく、作品としてもちゃんと面白いのがさすがだ。あれだけ売れていても守りに入らず新しいことを試してくる道尾さん。チャレンジャー精神を失わないところがいいなと思う。
奥田英朗『普天を我が手に』は昭和100年をテーマにした大河ドラマ的な骨太小説だ。第一部は昭和元年に生まれた子たちの親世代の話だ。昭和元年から太平洋戦争開戦までを描いている。彼らの親は軍人、ヤクザ、社会主義雑誌の女性編集者、大陸の興業主だ。4つの物語が平行して進んでいくかと思いきや、少しずつ接点ができていくのが面白い。これぞ大河ドラマみたいな感じなのだ。立場がバラバラなので戦前を多角的に見れるのはよかった。
原田ひ香『あさ酒』は長年続いてきたランチ酒シリーズを引き継ぐ話しになっている。見守り屋の仕事を祥子は恵麻に引き継ぎ新しくリスタートなわけだがさみしい。祥子の物語でやれることはやり尽くしたからなんだろうがやっぱりさみしい。
魚返洋平『男コピーライター、育休をとる』はタイトルそのまんま、男性の育休について綴った本だ。電通でコピーライターをやっている著者が取得した6ヶ月間の育休とその後の子育てについてのエッセイ。保活の話しも出てきてて23区内だとめちゃくちゃ厳しくて30まで申し込み可能且つそれでも落ちる人がいると知り震えてる。連載が2017年、書籍化が2019年なのでお子さんは小学生になっている。働く父としてその後をどう乗り越えてきたのかが気になるところである。
高畑鍬名『Tシャツの日本史』はそのまんま、Tシャツに着目した日本のファッション史についての本だ。Tシャツの裾を出すのか、出さないのか。それらを社会学的な観点から語ってるのが面白い。Tシャツの裾をどうするのから若い頃は素直にその時の流行に乗れるが中年には難易度が高かったりもする。何故なら若い頃にダサいとされてたものを取り入れることになるからだ。裾の出し入れに注目してファッション誌を読み解くだけではなく、漫画にも注目してたのは面白い。SLAM DUNKや幽白をTシャツの裾に注目して読んだことはないがいかにディテールが大事なのかがよくわかる。Tシャツの裾から読み解く社会論って面白い。
ハムダなおこ『アラブからこんにちは』はUAE男性と結婚しUAEに移住して5人の子供を育てる著者の日々を綴ったエッセイだ。旅行者ではなく生活者としての話なので視点が面白いなあと思う。UAEの夏は3月に始まるとかビックリだ。50℃越えるとUAEの公的機関は休みになるので49℃までしか発表されない。しかしラジオでは普通に52℃と言ってた話には笑ってしまう。家族やご近所付き合いを大切にし、食べ物を大量に差し入れする話はいい話だなあと思うが私には荷が重い。
ラマダンの話も興味深く読んだ。この手の異文化ものの話は面白くて好きだ。ラマダン中に喜捨をするという。喜捨とは貧しい人恵まれない人に財産を回す行為だという。ザカートという決められたパーセンテージを義務の喜捨とサダカという規定されていないが推奨される喜捨がある。学校からの喜捨のお願いに対して著者が渡した額を見て夫さんは倍以上の額を渡したそう。自分たちが恵まれていることを感謝して喜捨をすべきだと夫は言う。宗教感に基づき、寄付文化が根づいてるのがイスラム社会なんだなあというのを知った。
UAEは急速に発展した国で1960年代生まれの夫さんは石器時代から現代までを生きてる間に体験した世代だと言う。子供時代は長距離移動にロバやらくだを使っていたし親世代は識字率が低いが夫さんは大学進学しアメリカ留学もしている。社会がとんでもない早さで変わっていくのを体験した世代なのだ。石油が発見されたのが1958年、初めて輸出されたのが1962年。高層ビルが立ち並ぶ大都会へと発展したUAE。すごいよなあ。知らないことを知れるのは面白い。














































































