大奥

大奥 11 (ジェッツコミックス)

大奥 11 (ジェッツコミックス)

怪物、徳川治済

帯にあるこの言葉にゾワっとした大奥11巻でした。

ならば逆にお尋ねいたしますね
母上
なぜ人は嘘を吐いてはいけませんの?
最後まで吐き通せば誰にも分からないことではありませぬか
馬鹿みたい

ああそれから最後にもうひとつ
私が根付を盗みその罪を治之になすりつけたとして
私に何の得があるのかとあなたは言ったわね
理由を教えてあげる
退屈だったからよ

彼女の世界に存在するのは、ただ一人自分自身だけ。それ以外の人間などとるに足らない存在である。
治済にとって自分以外の人間は駒みたいなものなんだろうなあと感じます。彼らが自分と同じ人間だとは思っていないのでしょう。だからこそ、彼女は顔色ひとつ変えずに我が道を進んでいきます。彼女は自分のいるステージには誰も登らせません。何故なら彼らはただの駒だから。駒以上の価値などあるわけがない。身内だから特別という感情もなく子供も孫も駒や退屈しのぎの道具でしかありません。肥大した自己を拡大しながら彼女は虫でも潰すみたいに周りの人間を消していきます。それを繰り返しながら彼女はいつしか権力を手に入れます。しかし、権力を手に入れても残ったのは退屈だけ。彼女が行き着くのはどこなのでしょうか。そして行き着いたとして彼女はそこで何かを得ることがあるのでしょうか。
治済は私にとってホラーです。こんな人がいるのかもしれないと思うとゾッとします。でもいないとは限らないあたり、すごく怖い。幽霊よりも生きてる人間のがずっとずっと恐い。

きのう何食べた?

シロさんが老眼鏡をもらってみたりシロさんの母が肺がん疑いがでたりと年をとることについて考えたりしました。いくらアンチエイジングを呪文のように唱えようともいつかは人は老いに直面しなくてはいけない。自身の老いだけではなく親の老いも他人事ではない。親の老いについては私も考えてていずれは直面しなきゃいけないんだろうなあとは思ってます。とりま心構えだけは準備したほうのがいいのかもね。
何食べ9巻からは、ラタトゥイユをこないだ作りました。トマトが苦手でトマト味も苦手なんだけどおいしく食べれてよかったー。

ふたたびの虹

ふたたびの虹―推理小説

ふたたびの虹―推理小説

教徒の庶民のごはんであるおばんざいをだす小料理屋「ばんざいや」の女将と「ばんざいや」の客たちが繰り広げる事件を描いた連作短編集。物語が進むにつれて明らかにされるおかみの過去が思っていた以上に重くてちょっとビックリしてしまったんだけど、落とし所はとても優しくてほっとしました。若干ファンタジックなふうにも感じたものの、それくらいの優しさがあったほうがこの物語には合っているように思います。
それにしても出てくる料理がおいしそうでおいしそうでおなかがすく本でした。この本における料理というのは大事な小道具のひとつなんだけど、それを作者がとても大切にしているように感じられたのがよかったです。料理に対する愛情がちゃんと伝わってくるのは嬉しいなあ。