虎に翼

初回でいきなり面白いし1週目見終わってもやっぱり面白い。いきなりエンジン全開である。まず、オープニングがいい。朝ドラ主題歌だからと寄せてくるかと思われた米津玄師がいつもの米津玄師らしさ全開できてるのがよい。「空に唾を吐く」の部分の歌唱がとてもよい。オープニングには色々な女性が出てくる。色々な職業の女性たちが踊るシーンが好きだ。虎に翼は寅子の物語であると同時に様々な女性たちの物語であり、私たちの物語であると明示されてるかのようでぐっとくる。

舞台は昭和初期だか現代的な朝ドラだなあと思う。描かれてることは今の私たちとつながってることだし、寅子が感じる違和感は私たちの世界でも残念ながらあることだ。この時代、法律上は女性は無能力者とされ夫の許可が必要であり決定権がないものとされている。家の中を取り仕切り、かかあ天下等と言われたとしても女性は法律上は無能力者なのだ。女子供と一欠片にまとめられるのは悲しいかな、どちらも法律上は責任がある者とはされず無能力者であるとされているからだ。男の所有物とされていたのである。

寅子は結婚=自分の幸せとは思えない人だ。そういう道があるのは理解している。しかしそれが自分の生きる道とは思えぬ人なのだ。賢い女はその賢さを見せずにしたたかに生きてやりたいことを実現させればいいなんて思えないのだ。スンッてした顔して生きていくのは嫌なのだ。それは自分の生きる道とは思えぬのだ。

とにかく見合いしてよい結婚をすることこそが女の幸せであるとはるは寅子に結婚を勧める。しかしそんなはるもまた、戦う人だった。親の思惑など何ぞやで自分の幸せのために結婚を利用した人だった。

寅子は大正生まれ、はるは明治生まれ、はるの母はおそらく江戸時代生まれだろう。女3代がよかれと思ってやったことがというとよしながふみ『愛すべき娘たち』を思い出す。

祖母は娘時代、容姿端麗ながらそれを鼻にかける同級生を嫌悪していた。それ故に娘にはそうならぬようにと誓う。決して容姿を誉めることなく育てることになる。そのように育った母は娘をとにかく誉める母になったのだ。事あるごとに「かわいいね」と母は言う。ああ、ままならぬものである。

寅子はこの先もいくつもいくつも壁にぶち当たり、その度に「はて?」と言うのだろう。スンッて顔して弁えるふり等はしないだろう。今、私たちが生きてる世界は寅子を始め、多くの人たちが戦ってきた積み重ねでできている。それを感じる1週目であった。半年間楽しみだ。