トイレのポツポツ

トイレのポツポツ

トイレのポツポツ

鴨之木製麺工業に勤める人たちを描いた連作短編集。はじめは理不尽な会社だなあ、でもこれが現実だよねっていう感じだったのが、話が進むにつれて登場人物たちが自主的に動き出すあたりからぐっと引きつけられました。仕事ができるできないではなく、世渡りがうまいが故に出世していく人ってどこにでもいるんだと思うけど、そういう人たちに踏みつけられていく人も同じようにいるわけです。そういう理不尽さを前半では描きながら、後半で逆転していくあたりが爽快でした。とはいっても、彼らを傷めつけたりぎゃふんと言わせたりっていうわけではなくて「これが正しい仕事のやり方なんだよ!」って自分たちの信じたやり方で進んでいくのです。ゆえに、読後感もよいものでした。あと、タイトルの「トイレのポツポツ」が最後にきいてるのもよかったです。