おれは非情勤

おれは非情勤 (集英社文庫)

おれは非情勤 (集英社文庫)

非常勤教師として各小学校を転々とする「おれ」が遭遇する事件を描いた連作短編ミステリと小学生の男の子が遭遇した事件の謎を解く短編2つを1冊にまとめた本。内容としてはハードボイルド・ジュブナイル。ハードボイルドとジュブナイルって相反するものだけど、なぜかうまい事マッチしてました。東野圭吾って器用なんだねと思わせる1冊です。だってこの短編たちの初出、小学5年生や小学6年生ですよ。連載当時は、「小学生相手に殺人だとか浮気だとかの話を載せるなんて! キーっ!」といった感じの苦情がPTAから寄せられたそうだけど、なんだかなあ。私が思っている以上に、PTAってうるさいものなんですね。それだったら小学校の図書室に江戸川乱歩なんか置いちゃいけないと思うのですが。*1どう考えたってPTA基準だとアウトだと思うけど、それはいいの? 江戸川乱歩は偉いから? いやいやだって、小学生で東野圭吾に出会えるってなかなか幸運だと思うのですが。
いい年した大人でありながらも、PTAに向かってバーカバーかと言いたくなる私。大人が眉をひそめるようなものにこそ、子供っていうのは惹かれるものなんだい! 大人が薦める子供の本って勧善懲悪だったり、やたらめったらいい子ちゃんが出てきたりでつまんなーいと子供心に思っていたものでした。

*1:小学生の時の愛読書でした。もちろん、学校の図書室で借りてました。