男は敵、女はもっと敵

男は敵、女はもっと敵 (集英社文庫)

男は敵、女はもっと敵 (集英社文庫)

フリーの映画宣伝マンの高坂藍子を中心とした人々を描く連作短編集。さらっと読みやすい短編が7つ入っています。

男はなにも言わず首をうなだれてるだけだ。唇の端がゆがんでるのが八重には見えた。笑ってるんだ、こいつ。なんてイヤな男なんだ。敵だ、女の敵だ。

「本気の女」からの引用。藍子の元不倫相手の元妻の八重が主人公の話。こういう話を書く男性作家ってあんまりいないから面白かったです。あと、「不敵の女」で藍子の元不倫相手の息子の良太が藍子に会いに来るんだけど、このシーンがすごく好き。良太は中学生で藍子とは22才違い、言わば子供と大人なのに藍子はちゃんと良太の話を聞いて相手をしてくれてるっていうのがぐっときます。