ふちなしのかがみ

ふちなしのかがみ

ふちなしのかがみ

初のホラー小説という触れ込みだったので、さぞかし怖いのだろうと思って読んでみたらそんなに怖くありませんでした。昔はホラーって大の苦手だったのになあ。もしかして克服しちゃった? たぶん、年を重ねてお化けよりも生きてる人間のほうのが何倍も恐ろしいと思うようになっちゃったからなんでしょうね。それはそれでなんだかさみしい。
5つの短編が収録されてるけど、どれも世にも奇妙な物語でやるのにふさわしい感じだと思います。ホラー色が一番強いのが「踊り場の花子さん」。まさにホラーの王道って感じ。これを頭に持ってきたのは正解です。
「ブランコをこぐ足」は辻村深月っぽい学校の閉鎖性を描いてます。ひとつの「事故」を巡って色んな人の視点から語られるのは私の好きなスタイルなので面白かったです。
「おとうさん、したいがあるよ」はうーん…あんまりよくわからなかったです。ただ、作品全体に流れる空気は好きなので、こういうのもありだとは思うけど。5作の中で唯一、読者を選ぶお話だと思いました。
「ふちなしのかがみ」はよくある話っちゃよくある話だけど、少しずつ少しずつためていってやっぱりこう来たかーという感じでした。面白かったです。雰囲気作るのうまいなあ。
「八月の天変地異」はファンタジックなお話で、この短編集をしめるのによい話だったと思います。ラストシーンも美しいし、読後感もよいです。
作中、こっくりさんをする子どもたちの話が出てくるのですが、私も例によってやったことあります。
中学生の頃、学校で大ブームになったんですよ。クラス中の子が皆、やってたんです。放課は教室で、学校から帰っては友達の家で、といった具合にあほみたいにはまってました。が、なんでも終わりというのはくるものです。それは土曜日の事でした*1。忘れもしない2時間目の音楽の授業中の事でした。合唱の途中で気分が悪くなった子が出てしかも彼女が奇声を発するように。決してそんなキャラの子じゃなかったんですよ。ある子が「こっくりさんの呪いだ」と言い出し、そのうちに「昨日、最後にやった時こっくりさんが帰ってくれなかったからだよ。どうしよう。○○ちゃん呪われちゃったんだよ」と泣きだす子まで出る始末。これをきっかけに教室がざわめきだし、その後の3時間目は自習に変更。同じクラスの子のお母さんが霊能者*2で、気分の悪くなった子と別室で話をしたりとものすごく大事になりました。結局、真相が何だったのかはいまだに私は知りません。しかし、私たちに与えた影響はものすごく大きくて、それ以来誰もこっくりさんの話をしなくなりました。

*1:当時はまだ土曜日にも授業があった。たぶん、移行過程で2週に1度ぐらい出てきてたような気がするけどそれは高校だったのかもしれない

*2:うろ覚え。今思えばカウンセラーとかだったのかもしれない。