アンダンテ・モッツァレラ・チーズ

アンダンテ・モッツァレラ・チーズ (小学館文庫)

アンダンテ・モッツァレラ・チーズ (小学館文庫)

ちょっとはみ出した人たちの群像劇。キャラが立ってるおかげであらすじだけ読んだらまあ王道の普通の話が面白げな感じになってます。こういうの映画だったら面白いんだろうなあ、きっと。オサレな感じにアレンジしちゃったりしてさ。キャストもいい感じで配役されそうだしさ。だけど、私はどうにもこうにもあんまり楽しげには読めませんでした。なぜならば地の文がひたすら鬱陶しいから。もうね、語りかけてくるの禁止。

そりゃ、そうだろうな。ぼくたちも少しは生きたあの二十っ世紀に、物語を始める一番カッコいいセリフが発明された。それがまさにこれだったんだから。今は二00一年、二十一世紀は人の都合も聞かずに勝手に始まっちゃったけど、まだこれよりカッコいいセリフは発明されていない。由果は顔中を笑顔にしている。これは君の物語だよ。さあ、大きな声で、みんなに聞こえるように!

すべてがこの調子なのは正直三十路にはきついです。主張しすぎる地の文って好きじゃないもの。おまけに語りかけてくるのなんてさらに輪をかけて苦手。ちょっとエスプリきいてて面白いだろ?って作者に言われてるみたいで鳥肌が立つぐらい、苦手。いやね、ジュブナイルやら児童書、絵本なら全然いいんです、気にならない。そういう技法を使うことによって、読みやすくもなるだろうし。でもね、これ主人公三十路ですよ。出てくる人皆働いてるし*1。大人の話なんですよ、一応。なんかモニョモニョする。

*1:学生アルバイトもいるにはいるけど、気にするほどのレベルじゃない