からくりアンモラル

からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)

からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)

アンモラルな短編8つを収めた性愛SF短編集。あまり性が絡まない短編もあるけれど、かなり大胆な描写がある話もあり振り幅がある本だなあと思いました。だけれどもどの話でも少女が主体的に物事にかかわっていこうというスタンスには変わりがありません。通常、女性は性に対しては主体ではなく客体的です。それは男女の性が、男性=見る側、女性=みられる側という構図になっている以上、ある程度仕方がないことです。だけれども、その構図を飛び越えて主体的に性にかかわっていく少女たちの姿は興味深いものがありました。

体の変化に、なぜ、ここまでうしろめたさを感じなくてはならないのか−その理由は、わかっていた。自分が男たちの欲望の対象となる体に変わりつつあるからだ。そんなことは、全然望んでいないのに!
(略)
これからも自分は、毎月毎月、血を見なくてはならないのだ。実力を発揮できない日が毎月巡ってくるなんて、不公平すぎる。

表題作『からくりアンモラル』からの引用。秋月は初潮を迎え、自分の体が自分の望んでいない方向へと変化していくことを嘆きます。女の子にとっての第二次性徴っていうのは、欲望される体への変化を意味します。そこをどう折り合いをつけていくのか。うまく折り合いがつける子はいいけど、そうではない子にとっては辛いものです。でもこれを乗り越えなくては大人にはなれない。思春期ってそういう難しい時代だったなあと思いだしました。