ささらさや

ささらさや

ささらさや

突然の交通事故で妻と子供を残して死んでしまった夫、だが幽霊となった彼を見ることができた人に一度だけ入って妻と話すことができるというお話。加納作品らしい優しさにあふれているお話でした。キャラ立ちも抜群だしね。最初と最後の話だけは亡くなった夫視点なんだけど、これがまた胸にくるものがあるのなんのって。置いてかれるほうも辛いが置いてくほうだって辛いのだ。準備があったのならばともかくなければ余計に。特に最後のお話なんてたまんなかったです。死んでしまった人間はそこでお終いだけど生きてる人にはまだまだこの先長い人生がある。当たり前の事だっていうのはわかってるけれど、やっぱり寂しいですね。
主人公さやのキャラがちょっといらっときちゃったの除けば割かし面白く読めました。いくら赤子抱えて突然未亡人になったとはいえ、あそこまでひ弱キャラにしなくてもよかったのになあ。その分周りの人たちがさやを支えていく様子はなかなか興味深かったけど。一人一人は欠点がある人間なのにそれを魅力の一つとして描いてるのが私は好きです。