ギャングエイジ

ギャングエイジ

ギャングエイジ

新任の先生が担任したものの学級崩壊を起こして先生に去られてしまった旧2年2組。そんな彼らが在籍する3年2組を急遽担任することになった新任教師の1年間の奮闘を描いたお話。学校運営の難しさであったり子供たちの抱えてる問題であったりPTAのあり方であったりと色々と盛りだくさんの本でした。色んなことがあるものの、最終的にはキレイにまとまっているのでそこら辺をどう見るのかは個人差がありそうだけど、私はこの本が好きです。だって、未来を担う子供たちが多くの時間を過ごす学校に希望の光が見えないなんてそんなの嫌だもの、私は学校には未来を照らす力があって欲しいと思うんだもの。
先生を育てるのは子供や学校管理職だけではなく親も然りであるというくだりにはドキッとしました。新任の先生が担任になるというのは親としては正直心もとないことです。やっぱり経験ある先生に見て欲しいなあって思ってしまうもの。だけど、1年目の教師がいなければいずれ学校から教師がいなくなってしまうという言葉にはハッとしました。どんなに素晴らしいベテラン先生だって最初は新人だったんだもの。その時代があるからこそ、今がある。そういうことを私たちはつい忘れてしまうんです。この本の中で明かされる旧2年2組で何が起こりなぜ先生は学校を去ってしまったの真相には胸が詰まりました。先生の指導力不足経験不足もあったものの、同僚や管理職の教師たち、保護者によって彼女はつぶれてしまった。決して子供たちから嫌われていたわけじゃないのに子供が嫌いだったわけじゃないのに学校にいられなくなってしまったくだりは読んでて辛かったです。
長女は幼稚園時代小学校時代と合わせて3度新任の先生に担任してもらっています。まあ確かに新任の先生って正直にいえば頼りなかったりしました。特に2年生の時の新任の先生は4月末の家庭訪問の時には自分のことでいっぱいいっぱいでとても子供たちのことまで目が回らない状態だったし。ベテラン先生にも担任してもらったことがあるけど、同じ時期にもかかわらずちゃんと子供たちの事を把握しててさすがだなあと思ったのに比べるとやっぱりちょっと凹んだりもしました。だけど、子供たちはその先生のこと大好きだったんですよね。学年が変わり担任から外れても「先生遊ぼー!」っていう子たちがいて長女も「○○先生のクラスいいなー」と今でもいうくらい。たとえ親から見て拙い部分が気になろうが子供たちが先生のことを信頼して学校って楽しいなって思えるのならば、私はそれで十分です。新任の先生が指導力や経験が足りないのはそれは仕方がないことだもの。その代わり、新任の先生は一生懸命やってくれます。足りないものを補うために。だったら私たち保護者はそれをサポートしていけるようにしたほうのがずっといい。意図せずとも結果として親が先生をつぶしてしまうよりかはそのほうがずっと良い結果をえられると思うから。
この本の中では子供たちの問題も描かれるんだけど、学校がどこまで踏み込めばいいのか踏み込むことが許されるのかって難しいことだなあと改めて感じました。家庭の事情に踏み込むのは並大抵の覚悟ではできないし外部の人間にできることは実はそう多くはないのかもしれない。
スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

スイミー』は私も好きな絵本なんだけど、物語全体を貫く大事な小道具としても使われています。教科書会社にもよりけりなんだけど2年生の国語の教科書にも載っています。今回、何故2年生で『スイミー』なのかがすとんと胸に落ちてきてスッキリ。あの年代の子たちに必要な物語だからなんですね。
あれもこれもってちょっと欲張っちゃったかなーという感じがしないでもないけれど、私にはすごく響いた物語でした。