失恋ショコラティエ

数々の男の間を渡り歩いて男たちを振り回してきたサエコ。そんな彼女も結婚して落ち着いたはずだった。そう、あくまでその予定であったはずなのに思い描いていたのとは違った結婚生活を過ごしているサエコ。心の奥に澱のようにたまっていく鬱憤たち。彼女がそれをどこまで自覚しているかはわからないけれど、そういうのがあるからこそソウタにちょっかいをかけているんだろうなあって感じます。ソウタといればちやほやされていた頃の自分を思いだせるし自分が主導権を握ったお姫様であることを思い出させてくれる。それはサエコにとってはとても大切なことのように私は思います*1。だけど、そうやってサエコが思い通りにならない結婚生活から目をそらしたところで問題の解決にはならないんですよね。だってそれは現実逃避だから。甘い甘いチョコのような逃避の時間でしかないから。そして、チョコはやがて口の中で溶けてなくなります。永遠に溶けないチョコはありえない。サエコもいずれ甘い逃避の時間をすぎて現実と向き合わなくてはいけないでしょうね。

*1:いくらソウタが悪い男を気取ったところでサエコからしたら悪い男には見えてないはず。現時点ではあくまで振り回すのはサエコであってソウタは振り回される側からは抜け出ていない。