- 作者: 窪美澄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03
- メディア: 単行本
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もう一人の主人公真菜はなんていうかちょっと記号的に見えてしまいました。外から見たら恵まれた家庭に育ちながらも心の中は空虚で援助交際をしていた女子高生時代に始まり乳飲み子を抱えて東日本震災後の東京で放射能におびえる姿はちょっとテンプレすぎやしないかと。あの世代の屈折した女の子を描くにはこうっていうのを詰め込んでみたっていうふうに見えてしまってちょっと残念に感じました。真菜が30歳を過ぎても子供を持ってもまだまだ少女時代の屈折を乗り越えられずにいるあたりはリアルなのかもしれないなあとは思ったけど。
うーーん、力量がある作家さんだからもう少し違った形で物語を紡げたのではないのかと思うんですよ。物語を畳むのにあたって説教臭さを出さずとも違ったふうにメッセージをするりと織り込んで書くこともできたはずなのに。もったいないなあ。