アンボス・ムンドス

アンボス・ムンドス

アンボス・ムンドス

7つのお話を集めた短編集。女たちの裏側に潜んでいる醜い心や悪意を上手く描き出しているのは流石桐野夏生。ダメな主人公を途中まではあげておいて結局スタート地点よりも更に落としているので、読み終わった後に余計にずどんと来ます。
表題作の「アンボス・ムンドス」の中に描かれている5年生女子の悪意は女の悪意の原点のような気がします。子供って大人に都合よく無垢な物とかにされがちだけど、本当は無邪気に残酷なものですよね。私が小学校5年生の時、担任の教師をクラスの皆が嫌っていました。ある日の学校の帰り道、道路工事現場の横を通っている時に友達が「Aなんかぐちゃぐちゃに切り刻んじゃってこの道路の下に埋めちゃえばいいのに」といったのが忘れられません。勿論、彼女の意見に一緒に帰っていたほかの子も「そうだよね」と同意したのは言うまでもありません。別に本気で言ったわけではないけど、こういうことがポンと口から出ちゃうのが子供なんです。