流星の絆

14年前の事件の真相とその後の有明兄妹を描いた最終回。屋上での柏原対有明3兄妹の対決は静と激の様相でした。激しく感情をぶつけてくる有明3兄妹に対してのらりくらりと受け流す柏原。今までも柏原は激しい様子を見せずに静かに大人として保護者としての立ち位置でいたけれど、ここではその様子が際立っています。あと、この屋上のシーンは照明が綺麗で素敵です。これって演出効果上すごくよかったと思います。
やっと見つけた親殺しの犯人に対してどう結論を出すのか。真犯人を見つけるということ以上に、このドラマではそれが大事なこととして扱われていますが、私はこの結論はありだと思います。そりゃ、功一が「あんたには生きてもらう。生きてオレたちの様子を見てもらう」っていうのは所詮はきれい事です。どう考えたって。でも、ドラマ全体のバランスを見たとき、これが妥当だと思うのです。いいじゃん、きれい事。きれいごと万歳だよって思っちゃう。本当は違うんだけどね。だって、このときの有明3兄妹が本当にいい顔をしてたんですよ。功一も泰輔も静奈も。だからこそ、私はこの結論を受け入れることができたんだと思います。
ただし、犯人探しというミステリの部分についてはうーん、どっちでもいいやに途中からなっちゃいました。有明3兄妹の行方のほうがずっと大事になってしまったのです。でもなあ、反則でしょ真犯人は、東野圭吾さんよ。私はこの手の人間が犯人のミステリに出合ったのはこれで2回目です。だって禁じ手だと思うもの。この人疑ったらミステリって成立しないでしょとか思うし。
事件の真相がわかったのちは後日談です。これまでずっとシリアスが続いていたのでここからはおまけのお楽しみ。妄想係長高山が出てきたときはやってくれたと喜びました。やっぱり最後にポストイットの行方を見なきゃドラマが終われないもの。高山は最初から最後まで楽しいキャラで大好きでした。嘘とダイヤとやさしいレストランもうまく終われたし最後は何といっても幸せの黄色いポストイット。功一が出所してきたら有明が千円札だらけって。おまけにアクセルとか貼ってあるし。クドカンらしいお遊びが最終回でちゃんと見れてらしいなあと思いました。
途中、有明3兄弟で夢の洋食屋を開くシーンは見れないんだろうなと諦めれただけに最後のシーンは心がぽかぽかして嬉しくなりました。ちゃんと両親の後を継いで洋食屋アリアケをオープンさせることができた3人によかったなーと。でもって最後の最後で「ご主人、ハヤシライスを」「終わっちゃいました」のやり取りで〆れて笑えて楽しかったです。功一と行成のこのやり取りが何よりも平和な日常が返ってきた象徴なのです。劇的な何かよりも何げない普通の日常が大切。
流星の絆での私の収穫は戸田恵梨香要潤の2人です。2人とも私の範疇外のお芝居をしてくれたおかげで、とても楽しむことができました。二宮くんは基本静で肝心な場面ではそれを発散されるかの如くの感情を爆発させる功一役を熱演していたと思います。錦戸君も泰輔というちゃらんぽらんだけど妹思いのお兄ちゃんを頑張ってやっていたように感じました。