エ/ン/ジ/ン

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「エンジン」と呼ばれていた男を追いかけて色々な人に話を聞いて彼に迫る話。三分の一ぐらいまでは語り手である「私」が誰であるのか明かされず、何なのだろうって感じだったし、ちょっと不思議な雰囲気のお話でした。前に読んだ「平成大家族」が面白くてそういう感じなのかなって思ってたら全然違ったのでいい意味で裏切られました。どこか足元がふわっと地面から浮いてるようで、でもそれが悪くなく思いました。
軸になるのは、「エンジン」のかつての恋人でありちょっと変わった思想家でありかつては幼稚園教師であり現在は認知症である蔵橋礼子とその娘ミライの母娘関係です。かつて蔵橋親子は寧月時代、反抗期がありました。母娘関係って母息子関係とはまた違ったややこしい問題を含んでいて、同性であるが故の難しさを感じます。色々時間をかけて変化していくけど、女同士は微妙な問題を含んでるよなって自分でも思います。ラストに希望が持てる話で読後感が爽やかでした。