柔らかな頬

柔らかな頬 上 (文春文庫)

柔らかな頬 上 (文春文庫)

柔らかな頬 下 (文春文庫)

柔らかな頬 下 (文春文庫)

不倫のため別荘へ家族旅行に行った先で娘が謎の失踪を遂げ、娘の行方を追ってさまよう母の話。読後感がずしんときます。最後まで犯人を明確に示してないけれど、夢とも現実ともつかぬ中で事件の真相を求める姿が鳥肌立ちます。特に最後の4行が何とも言えません。事件にかかわった人の心の内がいろいろ出てくるのだけど、最後の娘有香の視点の話がもう、ダメ。この部分も夢なのか妄想なのかそれとも事件の真相なのかを明らかにはされていないものの、心に迫るものがあります。
桐野夏生は読むと疲れるのだけど、この疲れが程よく心地よいのです。