- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/12/28
- メディア: 単行本
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わたしたちは、その時代の人間としてしか生きられないものだろうか。たたらの世界をめぐるこの村の男たちも、女たちも、生きたその時代の、流れの中にいた。人間というのはとても不器用なものだ。わたし自身を振り返っても、まったくどうしてこんなにだめなんだろうと自分でもわかっているのに、そういう自分からなかなかうまく抜け出せない。変わるって難しいことだ。成長するって、たいへんなことだ。だけどわたしは、がんばって生きていくぞ、と思う。
3部からの引用。祖母の万葉は自らの運命を受け入れて大人になったけれど、母毛毬は赤朽葉家の長女としての運命は受け入れたけども最後まで大人になることなく死んでいきました。娘瞳子は大人になることを迷いながらも最後には大人になることについて考えて変化をしようとします。それぞれの時代によって色々な事情はあるけれど、時代が下るほど大人になるのが難しくなるなんて、皮肉だよなあと思います。