- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/09/03
- メディア: 文庫
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重松清ってやっぱこういう泣かせる話ってうまく書くよなあと思うし、事実私も泣きそうになったけど、でもいまいち大好きって言えない作家です。なんなんだろう、あざとい、とまではいかないけどなんていうか私の中でつっかかりがあるんだよなあ。大体、奥さんの最後の手紙の中身が「忘れていいよ」なんて男のファンタジーじゃんとか思うと、なんか覚めちゃう。「その日」を迎えて残される側としてすごく丁寧に書いてあっていいなあと思う反面、いなくなってしまう人の苦悩っていうのが薄い気がする。いや、残される側を描いてるんだから余命いくばくもない人の内面描写がないのはいいの、大体一人称の話ばっかだしね。そうじゃなくて、普段はすごく温和な人だったのに死を前にして変貌してしまったのを見てやりきれない気持ちになったとかそういうのが読みたかったんです。というか、そういうのが書いてあると思って手に取ったので、なんか拍子抜け。本当にえぐい事は書いてなかったんだもの。でもそれこそ、目をそらしちゃいけないことなのだろう。病は気から、というけれど逆に病が気をおかしくさせるというのもあると思うのです。