最悪

最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

奥田英郎は短編はよく読むものの、長編って読んでないよなあと思って読んだ1冊。面白かったです。
町工場の社長、しがないチンピラ生活を送っている若者、親のコネで入社した銀行で働くOLの3人の人生が坂を転げるように最悪な方向へ向かっていくんだけど、厚さが気にならないくらい一気に読めました。別々の人生を歩んでいた3人が終盤に向けて一蓮托生になっていくあたりとか面白かったなあ。3人それぞれの視点から物語が語られてるんだけど、なるほどねーという感じでした。読者である私はそれぞれの事情がわかってるんだけど、3人はそうじゃないから妙なことになるわけで、この感じが小説ならではの醍醐味なのだと感じます。ドラマや映画では描ききることができないものが小説にはあるのだということを改めて教えられた気がしました。