シンデレラ・ティース

シンデレラ・ティース (光文社文庫)

シンデレラ・ティース (光文社文庫)

歯医者を舞台にした連作短編ミステリ。見方を変えれば、嫌な人もそうじゃないんだよっていういわゆる日常の謎ミステリの本です。
悪くはないとは思うけど、いまいち入り込めずって感じ。私は悪意のある話ってやつが大好きなので、出てくる人たちが皆いい人っていうのはちょっと物足りなかったです。どれかひとつくらい、底意地の悪い悪意がある話を入れたとしても、物語全体としてそんなにバランス悪くならなかった気がすると思うのですが。なんていうか、パンチ不足。思いっきりのアッパーパンチを食らいたいんです、本にはというか特にミステリには。
あと、ヒロインのキャラが好きじゃなかったっていうのが大きいのかなーと。ヒロインの一人称で物語が進むのだけど、これがなあちょっと鬱陶しい。たとえて言うなら、コバルト文庫を読んでるみたいでした。いや、私コバルト嫌いじゃないですよ。中高生の頃読んでたし。10代の頃にああいう小説を読むっていうのは必要だったような気もするし。何が言いたいかというと、全く同じ話をヒロインの一人称ではなくて三人称のあっさりした文章で書いてたらもっと違う印象ではなかったのかと思うのです。とうに10代を過ぎてしまった身としては、そう思うのです。うーん、相性悪いのかなあ。