2円で刑務所、5億で執行猶予

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

実は最近は少年犯罪は減ってきてるし凶悪化もしていないし、むしろ昭和30年代のほうのがよっぽどひどかったて話は既知の話なので特に感想はなし。著者が専門家として犯罪者の更生について書いてる部分は知らないことも多かったので興味深かったです。ただ、私個人としては何のための厳罰化なのか何のための死刑制度なのかといったら、それは被害者のためだと思っています。犯罪者がちゃんと社会に受け入れられて再犯せずに済む温かな社会は必要だとは思います。厳罰化が犯罪抑止効果を生まないのもよく知ってます。だって、刑罰を恐れてやらないような人はその刑罰がなくてもやらないだろうし、やる人っていうのはどんな刑罰を科そうがやるものだからです。刑罰は犯罪抑止にはつながりません。
私が許せないのは、加害者の人権ばかりが尊重されているように感じることです。加害者も同じ人間なんだし尊重はされるべきなのでしょう。だったらなぜ、被害者の人権は尊重されていないのか。被害者へのフォローがきちんとなされていないのか。これを後回しにしてるように感じるから、すごくいやーな気持ちになります。
死刑制度っていうのはどこにも気持ちを持っていきようのない被害者にとって必要なのだと思うんだけど。言っちゃあ悪いけど、絶対的に更生のしようのない人っていうのは一定数いるだろうし、これ以外に与えるべき刑罰がない犯罪っていうのは悲しいけれど存在すると思う。