サンタのおばさん

サンタのおばさん

サンタのおばさん

女性初のサンタを認めるのか認めないのか、その会議を通して様々な問題を考える東野圭吾の絵本。ちょっと意外な感じの本でした。絵本といっても内容的には少し難しいので幼児向けではありません。小学校低学年でも理解は難しい面があるかもしれません。むしろ、大人のための絵本だと思います*1。人種問題や父性・母性の問題まで踏み込んでいて、短いながらも面白く読むことができました。

「父性は大切だと思います。軽んじられるべきではありません。そしてサンタは父性の象徴だであると思います。だけどそれを与えられるのは男性だけではないと思います。同時に、母性を与えられるのは女性にかぎらないと思います。そう思ったから、あたしはサンタに応募したんです」

このセリフは女性初のサンタに応募したジェシカのもの。東野作品に出てくる女性像からして、東野圭吾がこのような物語を書くとは思っていなかったので驚きました。でも、私もそう思います。父性は父親だけのものではないし母性だって同じはず。人によってバランスは様々だろうけど、どちらも兼ね備えていることがよりよいものを生み出すのだと思います。

*1:図書館でも絵本・児童書のコーナーではなく、文芸書のところにおいてありました。