八日目の蝉

ダメだ…。希和子(壇れい)が思い描いているだろうかわいそうな悲劇のヒロインに全然見えないどころか、自分勝手なエゴイスティックな母性の押しつけしてる人にしか見えないんですが。希和子のナレーションがなきゃもっと感じは違って見えただろうけど、薫(小林星欄)についていてあげられるんだろうかだとか、島に生まれ育って文治(岸谷五郎)みたいな人と一緒になるという人生もよかったかもしれないけれどでもそれでも薫と一緒の人生をためらいなく選ぶだろうっていったい何なのだろうか、この人。私は薫を愛しているという面では世界一なんです、どうかお許しくださいってことなのだろうか。だから、本当だったら薫が送っていただろう生活を奪っていることを悪びれもしないというのだろうか。こんなわけのわからない逃亡生活を送り、かけがえのない幼児時代をめちゃくちゃにしたっていうのに。実の母だと思っていた人が本当は不倫相手でおまけに目の前での逮捕劇。トラウマにならないわけがないじゃないですか。服役後、希和子は自分のしでかしたことを心の底から反省して悔いるのだろうか。自分は間違っていたと心の底から思うのだろうか。そうじゃないと、納得できないんだけど。
今のところ描かれている希和子の母性というのは、非常にエゴイスティックで一方的なものだと言わざるをえません。希和子は薫に依存しているだけで、薫のことを本当に考えているとは感じられないです。自分が連れまわすことが薫の人生にとってどんな影響を及ぼすのかについては避けているばかりか、この島でのかけがえのない生活を忘れないで欲しいとすら、願っています。母性ってそういうものじゃないでしょ? そりゃ色んな形があるものだとは思うけど。それと母性云々とは別に、希和子が薫がかわいくてたまらないっていう以外にふと過去を思って薫に愛憎半ばっていうのが出てたらもっと自然に見れた気がします。うーん、最後きれいに着地してくれるのかしら。