邪魔

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)

面白かったー! 坂道を加速度的に転がり落ちていく人たちをうまく描いていて楽しめました。同じような『最悪』に比べると、序盤から登場人物がどんどん絡んでいく分、私はこちらのほうのが好み。文庫で上下巻だし長いなあと半年ばかり積読してたけど、読み始めたら一気でした。長さなんて気にならなかったです。ちょっと気になることはあったものの面白い本でした。
以下、少しだけ内容に触れてるのでたたみます。
ただ、欲を言えば残された及川家の子供たちに何かしらのフォローがあればよかったのになあと思いました。親はしょうがないけれど、子供たちには非はないわけだし。全然あの子ら悪くないんだもの。それがポーンとほったらかしなのはなあ。及川夫妻に子どもがいなければ、恭子がああいう道を選んだっていうのもむしろ爽快感があってよかったんだけど。でも子なしの設定にすると、途中の展開がやや萎みそうな気もする。恭子は子どもがいたからこそ、ああなってしまったんだろうしなあ。
九野の義母のことは読めてなかったのでほほーっと思いました。よくよく読めば、伏線ちゃんとあったのにね。人間が壊れても生きていかなきゃいけない哀しさを九野に感じました。