乱反射

乱反射

乱反射

面白かった。まずはその一言に尽きます。本当はこれを面白かったの一言で済ますのは不謹慎なんだろうなあと思う。私たちが日常生活で何気なくしているエゴが積もり積もって変なふうに重なった結果、事件が起きた。事件そのものはまあよくある話っちゃよくある話なんだろう。三面記事をにぎやかしてほんの1カ月もしたら被害者サイドの人たち以外は皆忘れ去って普通に日常生活を送れちゃうような、本当によくある事件だった。でも、そこに至るには一見関係ないようなどうでもいいようなことが色々あって、それぞれが自分が関係者だなんて思いもよらなくて、でも事件は起きてしまう。そう、それはまさに乱反射そのもの。読み進めるにつれ、このタイトルがいかに秀逸であるのかがよくわかります。そして、こういった話を貫井さんがいかにうまいのかにも気づかされます。読み終わった後、私は何をして何をしていないのだろうかと自己を振り返ってなんともいえない気持ちになりました。貫井さん、怒ってるのかなあこういうモラルハザード状態を。