リカ

リカ (幻冬舎文庫)

リカ (幻冬舎文庫)

出会い系サイトにはまった主人公は色々とお楽しみな日々を送っていたが、これで会うのは最後にしようと色々メールした結果つり上げたのがリカ。日増しにモンスター化するリカに怯える彼の運命は?という話でした。これがね、本当にしょうもない男なんですよ。知り合いにそそのかされて始めた出会い系サイトにはまりつつも、「自分が一番大切なのは妻と娘であり家族なのだ。でもちょっとこれぐらいのお楽しみもいいよね☆」って思ってるのに読んでてイライラしてきちゃいました。だってこの男知り合いの男と作戦会議なんかしちゃってこれがねえなんていうか偉そうでね。はまっちゃいないふうを装ってるけどでもこれ十分はまりすぎだから(笑) たぶんだけど、奥さんが同じことしてたら絶対許さないんだろうなあこの男。あくまで遊びであって本気じゃないんだからとかいっても聞く耳なさそう。
まあ、そんなこんなではまりつつも最後につり上げたのがリカで日増しにモンスター化していき生活が壊れていくわけです。玄関のノブに髪の毛貼り付けてみたり会社のパソコンにいたずらしてみたりケータイに電話かけまくってみたりのひどいスト―キング行為をされるわけだけども、でもこれって因果応報だよねって思うと読んでても怖くないというか。一応ホラーなんですけどね。ラストも推測の域を出ずちょっと残念な仕上がりでした。審査委員の一人であった桐野夏生が選評で「リカが何故モンスターになってしまったのかをもっと掘り下げた描いたほうのが面白い」的なことを書いてたけども私も同感です。そこを掘り下げることによってよりリアルな恐怖が生まれて面白くなっただろうになあと。モンスターそのものよりも、何故モンスターになってしまったのかのお話のがより怖さを生むのだと思います。人はモンスターに生まれるわけじゃない、でもモンスターになってしまう人がいる。