オリンピックの身代金

オリンピックの身代金

オリンピックの身代金

昭和は遠くなりにけりというけれど、東京オリンピックというのも私にとっては昭和の輝かしい業績のひとつでありながらも遠い過去のように思っていました。でもそうじゃないんですよね。私が生まれるたった15年前の日本はこうだったのかと思うと愕然としました。東京と地方の格差であったり同じ日本に住んでるのに見えてる景色が全然違うのとかが胸に来ました。今は格差社会といわれているけれども、それは一億総中流の時代を経た今だからこそ言えることなんでしょうね。格差があるのが当たり前だった頃はそれを口にすること自体がありえなかったというか。あまりに当たり前のことすぎて。
奥田英朗というと伊良部シリーズに代表されるようなユーモアあふれるコミカルなイメージも大きいけれど、こういう骨太な社会はミステリも私は好きです。振れ幅大きい引き出しが多い作家さんはやっぱり面白いなあと思いました。