廃墟建築士

廃墟建築士

廃墟建築士

相変わらず独特な世界観だなあと思いました。現実から少しだけふわっと浮いた世界だけどファンタジーとも微妙に違う不思議な三崎ワールドでした。

「何もない場所でも、その人にとってはかけがえのない場所だってこと、あるでしょう。それを他人が、そんなものには意味がないなんていうことは出来ない。そうでしょう?」

「七階闘争」からの引用。うまくいえないんだけど、ああわかるなあこの感覚と思いました。結局最後まで彼女にとって七階という場所がどんな場所なのかは分からなかったけど、でもそういうものなのだと思います。簡単に伝えられるのならば、簡単にわかってもらえるのならば、そんなに苦労はしやしないもの。
4つの短編の中では「図書館」が最も幻想的でステキだなあと思いました。夜の図書館を本たちが自由に飛びまわっているなんてなんてステキな光景なのだろう。