七つの海を照らす星

七つの海を照らす星

七つの海を照らす星

連作短編の形をとりながら、最後にそれらがまとまって大きな物語になるという形式の日常の謎系ミステリ。最後どういうオチになるのかなーと思ってたら6つの連作短編そのものが大きな振りになっていて面白い構造だなあと思いました。児童養護施設を舞台にしているので色々一筋縄でいかなかったりシビアな話も出てきます。児童養護施設=親のいない子が入る施設という風に思われがちだけど今は何らかの事情があって親と暮らせない子のが多いのが現実。私も学生時代福祉はちょっとかじったのでそこら辺の話は少ーしだけど知ってます。でも色々難しいですよね。現実問題、子供は大人の庇護がないとどうしても暮らしてはいけない。だからといって親が権利を振りかざして子供と一緒に暮らすことが必ずしも幸せなことだというわけでもないというのが何とも厄介なところ。でもね、守られるべきは子供のしあわせであって権利だと私は考えるんです。これは全力で守らなければ。何をおいても大事にしなければいけないこと。そんなことを読みながら考えました。
読んでて身につまされる話もあったけど文章自体が優しく温かみがあったのでするするーっと読めてしまいました。続編もあるとのことでこちらもぜひとも読みたいところ。