楽園

楽園 上

楽園 上

楽園 下

楽園 下

事実はひとつでも真実は決して一つじゃない。それは人それぞれの心の中にあるものだから人の数だけ存在する。そんなことを読んで思いました。人は勝手に意味付けをして物語を構築して生きるものです。じゃないと辛いこともあるのでしょう。どんな思いで彼らがいたのかは本当の意味でわかることはないと思います。彼らだってその瞬間の気持ちとあとづけであの頃はこうだったんだっていうのは違うはずだから。
敏子と等君親子には救われたけど、辛いお話でした。ああでもそもそも生きるということはそういうことなのかもしれないですね。
『楽園』は『模倣犯』から9年後の話なんだけどもすっかり内容忘れてることに愕然としました。たくさんの人たちが事件に巻き込まれたこと、犯人の人となりはうっすらと覚えてるもののそれ以外のことはさっぱり。「山荘ってはてさてなんだっけ?」と思ってしまったぐらい。自分の鳥頭っぷりが恐ろしくなったものの、逆にいえば再読の本でも初読みと同じくらい新鮮な気持ちで楽しめるからいいじゃないかと頭を切り替えることにしました。ええ、強引なポジティブシンキングは得意なんです。