重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

話のテーマとしてはかなりの重量級で重くてたまんないんだけど、物語全体に漂う空気が重さを緩和するような軽さを持っていたおかげで面白く読む事ができました。しかもその軽さは軽薄なのではなく軽快な軽さ。こういうのはやっぱり好き。物語的には沙希が読めちゃうとこもあったりしたけどだからといってそれがマイナスに作用してるかといったらそんなことは全然なくて。そういうの込みで面白かったです。先がわからず読めないのだけが面白い本とは限らないというよい例。
冒頭とラストを「春が二階から落ちてきた」という印象的な文章で統一しているのもいいなあと思いました。同じ文章なのに突飛な冒頭にきれいにまとまったラストという違った意味があるのが面白い。
映画がどういった作りになってるのか気になるのでいずれ見てみたいなあと思います。本読んでた時に思い浮かべてた顔とはちょっと違うけどこのキャストは気になるし。