水の眠り灰の夢

水の眠り 灰の夢 (文春文庫)

水の眠り 灰の夢 (文春文庫)

東京オリンピックを控えて高度成長期を過ごしている東京を舞台にした話。ミロの父親村善が主人公のミロシリーズの番外編。基本的にハードボイルドは苦手なんだけど何故か桐野作品のハードボイルドはすうーっと入っていけるから不思議な感じがします。その違いが何なのかは分からないけれど私は好きです。
舞台が東京オリンピックを控えた東京ってことでモチーフが似てる奥田英朗の『オリンピックの身代金』の事を思い出したりも。2作品とも作品全体が醸し出す雰囲気は似てると思います。それは作家性という事を超えてその時代の匂いなのかなあと私は考えます。泥臭い時代を超え、今がある。そういうことをぼんやり考えた本でした。