- 作者: 岡崎武志
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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この10年近く、ベストセラー本を紹介する仕事を続けてきた。その経験から得たことは、ベストセラー本はリアルタイムでは読まずに寝かせて、20年後、30年後に読むとおもしろい、という事だ。
ベストセラー本は「時代を映す鏡」である、とも言える。中身はどうあれ、大量消費されたものには、その時代に大衆が求めた要素が必ず含まれている。だから、あとになって読むと、その時代が抱えていた空気みたいなものが見えておもしろい。その意味で、私は全てのベストセラー本は、何らかの意味で「日本人論」になっていると考える。
なるほどー、そう言われると納得です。ベストセラー本ができる仕組みって普段本をあまり読まない人が買うからこそ売り上げが伸びるんだもの、そりゃベストセラー=時代を映す鏡というのも当たり前。あの時代はこんな本が売れたからこんな時代、そうやって懐かしむため時代を総括するためにベストセラーは存在するのかもしれない。
既に売れてる本をレビューしてるため、よいしょ書評にしなきゃっていうのがない分辛辣なとこもあったり。でも、私は書評って褒めるだけが芸じゃないと思うんです。要は読み物として面白いかどうかが大事。その上、書評にあげた本が売れれば尚の事よしだと思いますが。まあ、出版業界にとっては売れる事が何より大事だというのはわかってるけど。
そういう意味でいえば、私はこの本悪くないと思います。読み物として成立してると思ったから。新旧2冊のベストセラー本を取り上げて比較する温故知新編が興味深い個所がいくつもあって面白かったです。時代ってめぐるものなんですねえ。