ぬるい毒

ぬるい毒

ぬるい毒

相変わらずの本谷さんって感じでいたいところぐいぐい抉られながら読んでました。好きなんだけど面白いんだけど何ともきつい話でした。本谷さんってハイテンションきつエキセントリックな痛いヒロインの話を描く人ってイメージだったけど、このお話にはハイテンションなヒロインは出てきません。でも、ハイテンション抜かすと地味ーな怖さがあると思いました。プチホラーっぽいなって。このひやりとした怖さは今までの本谷作品では味わえなかったからなんとも不思議な感じがします。
それにしてもこの本、『勝手にふるえてろ』と同じく主人公に対する評価って真っ二つなんですね。なに勝手に人が悪意の塊みたいな変なフィルターかけて見てるんだよ彼らが本当に悪意があるかどうかなんてわかんないじゃんかむしろそんなふうに見てる側のがおかしいんじゃないのって(意訳)いう人もたくさんいてなるほどそういうふうに見えるものなのねえと思ったものです。私はチキンやろうなので自分が傷つくのが怖いのです。故にへんてこなフィルターかけて見てることって往々にしてあります。だってそうやって予防線はっとけば傷が深くなりにくいだろうし、笑われてるのに気づいてないとかっていう致命的な恥辱を受けることも防げるかもしれないし。こうやって歪んだ目で物事見てるからますますダメなんだろうなあと思いつつも、長年染み付いた習性ってなかなか消えるものじゃあないですよね。あーあ、どうしたものか。