少女は卒業しない

少女は卒業しない

少女は卒業しない

統廃合が決まっていて卒業式の翌日に後者の取り壊しが始まる高校を舞台にした7人の少女たちのお話。『桐島、部活やめるってよ』を読んだ時にも思ったんだけど、ジェンダーをあまり感じさせない文章を書く作家さんですね。女性作家さんの作品だと言われても私は違和感ないもの。男性がこういう少女がいたらなあと思う非実在少女ではなく、かつて少女だった人も今少女である人もこんな少女がどこかにいたはずだと思わせるようなキャラクター造形でした。なんていうか少女マンガ的なんですよね。少女マンガの文法を使って書かれた小説なんだと思うんです。出てくるのは少女だけではなく、先生や少年もいます。だけども彼らもマッチョな感じはしないんですよね。
7つの短編の中では「在校生代表」が一番好きです。卒業式で一世一代の告白をする少女の送辞なんだけどもうね、これは少女マンガ好きにはたまんないんじゃないかっていうぐらいキュンキュンしました。いいなあ青春って。現実的に考えればこんな送辞が読まれることはまずないわけだけど、それでも私はこういう世界が大好きなのです。大人になる前の少女の微妙な表情をうまく切り取っているのが印象に残りました。
こういった作家さんが今後どういうふうに変化をしていくのかが気になります。この路線を継続したまま大人になっていくのか、それともいずれは加齢臭が気になるような作品を書くのか。今後も読みこんでいきたいと思います。