夏と冬の奏鳴曲

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

ミステリ界のハカイダー麻耶雄高らしいアンチミステリ小説でした。ちょっとずるいなーと思わないでもないけれど、麻耶作品だという事考えればそれもそれでありなのかもしれないと思えてくるのが恐ろしいところです。私飼い馴らされすぎてるんだろうか(笑) 色々な謎が解かれると同時に新たな謎が浮上してなんじゃこりゃーとならないわけじゃないけれど、でも私は嫌いじゃないです。
途中、もっともゾワーっとしたのは「春と秋の奏鳴曲」の映画を見るシーンでした。ここに関する部分だけ取り出すとまるでホラーです。ネタばれになるのであれだけど、怖くないわけないです。お化けも妖怪も何にも出てこないのに恐怖がどんどん増してくるあたり、やはり最も恐ろしいのは人間なのだなあと改めて思った次第です。