ツナグ

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

本来ならば、物語を回していくためにあくまで外野として存在し続けるはずの使者が連作短編集の最後に主人公として登場するのが面白いなあと思います。それによって使者をキーワードに繋がっていたこのお話が使者自身の成長物語として読み変えることができてなるほどなあと。色んな伏線がするするーっと回収されていく様もよかったし、読後感も悪くなく程よいエンタメ小説として成立していました。基本路線はファンタジーなのにスパイスとしてリアルがきいてくるあたりがやっぱり私は好きなのです。さじ加減の絶妙さがたまんないですね。