大奥

原作ファンとしては、ドラマ化が発表された当初は不安でいっぱいでした。キャストには文句ないけど、果たしてどれくらい踏み込んだドラマ化になるのか全く読めなかったからです。骨抜きにされやしないか、原作の核の部分がなかったことにされやしないか怖かったのです。だけど、回を重ねるごとにその不安はなくなっていきました。おかげで無事に完走することができました。制作側が原作をどんなに大切に思って映像化しようとしたのかが伝わってきたので私はそれで十分です。キャストありきのドラマかじゃなかったのが何よりありがたいです。そういうのは多いしね…。
欲をいえば、民放連ドラという限られた予算であったがためにセットや衣装などにお金があまりかけられなかった点が残念でした。まあでも仕方がないよね。大河とは違うしね。民放がお金かけて作りたいならば映画にして資金回収するしかないものね。だからこそ、綱吉編は映画になるのだろうし。映画もきっといいものになると信じてるので、見に行くのが楽しみです。
ドラマ最終回は原作では24ページのマンガです。しかもうち8ページ半はドラマでは描かれることがなかった百姓神原さとの物語です。なので実質は15ページ半。しかしドラマでは原作ではかけあしで通りすぎてしまった有功の大奥総取締就任から4代将軍家綱誕生までを時間をかけて描いており、原作を補足する形になっています。特に、後の5代将軍の綱吉こと徳子とその父である玉栄の関係が描かれてるのがよいなあと思いました。玉栄は本当に心の底から娘を愛してたんですよね。しかし、いつしかそれが歪んでいき我が子かわいさのあまりに我欲を見せるようになってしまう。玉栄がかけてしまった呪いで綱吉ががんじがらめになるという映画へのいいアシストですね。また、お腹様になったことによって変わってしまった玉栄というのは、人間は権力や立ち位置で変わってしまう生き物だという哀しさも含んでいてなんともいえないです。
あーでも本当に面白かった。スタッフやキャストのみなさん、ありがとうございました!