ネオカル日和

ネオカル日和

ネオカル日和

エッセイとショートショートと短編小説を収録した初のエッセイ集。辻村さんがルポをしたのはフジロックや能に始まりガンダムアメトーークまで色々。なるほどーこういうことに興味を持たれてる方なのねーと。本と映画の話では『モモ』の話がよかったです。私も子供の頃に『モモ』を読んだんだけど同じような時期に同じ本を読んでたんだなあと思うとなんだか感慨深いものがあります。それというのも、辻村さんと私は同世代なのです。場所は違えど同じ時代に同じ様なものを見てきたんだなあと思うとやっぱり思い入れしちゃうんですよね。
辻村さんは以前からドラえもんをはじめとする藤子作品への愛を語っているんだけど、それはこの本の中にもでてきています。藤子作品を経由しなかったら違った人生を送ってたのかもって思わせるくらい、辻村さんの藤子作品愛は深いです。ドラえもんやおばQ、エスパー摩美やチンプイキテレツ大百科パーマンは私たち世代にとってはごく当たり前に触れることができるアニメでした。辻村さんはパーマンの最終回をあげてその素晴らしさをあげてるんだけど、私もこの話はインパクトが強くよく覚えていたのでとても懐かしい気持ちになりました。でもって改めて藤子作品のよさを思ったり。
エッセイだけではなく小説も収録されていますが、その中で「七胴落とし」にぐっときました。大人はみんな忘れてるけど子供たちは猫と喋ることができ色々な事を猫に教えてもらったものだというお話なんだけど、短いながらも凝縮されていて私が何故辻村作品を好きなのかがつまった短編になっていました。長編もいいけど、短編が本当にうまい作家さんだなあと思いました。
本の雑誌』の企画で三万円分の本を買うことになったという辻村さん。買われた本は『つるかめ助産院』『RDG』シリーズ3巻まで、『別冊宝島 AKB48推し!』『AKB49〜恋愛禁止条例』『LIFE3なんでもない日、おめでとう!のごはん』『オカアチャン1年生 トリペと2』『結婚ゴーアラウンド』『ねむり姫』『千年の祈り』『こぐまちゃんえほん 全15冊セット』『こぐまちゃんおでかけセット』『洗礼』。これはとっても興味深かったです。へー辻村さんってAKB好きだったのか、しかも推しメンもいるとエッセイの中では書いてたけれどそれは誰なのかなーと気になってたまりませんでした。以前彼女たちを取材したことがあるそうですが、「私だって語りたかったのに」という辻村さんに「私もぜひとも語ったものを読みたいです!」と変な電波を飛ばしそうになりました。
産休育休を経て作家活動を続けている辻村さん。今後どういった作品を生み出していくのかが楽しみです。