サボテン島のペンギン会議

サボテン島のペンギン会議 (人と“こころ”のシリーズ)

サボテン島のペンギン会議 (人と“こころ”のシリーズ)

絶滅の危機に瀕しているというフンボルトペンギンに会いに南米までいったというノンフィクションの本です。こちらの本は児童書になっていて漢字にはルビがふってあるし、何より文章が平易でとても読みやすい一冊です。次女がペンギン、しかもフンボルトペンギンが大好きという事でこちらの本を手に取ったものの、150ページもある本は彼女には荷が重いという事で私が読み聞かせをしました。写真やイラストも多く取り入れられているとはいえ、150ページもある本を音読しきるのは結構しんどかった…。
ペンギンといってまず思い浮かべるのは南極の寒いところに住んでいる姿です。しかし、すべてのペンギンが南極付近で暮らしているわけじゃありません。日本の動物園水族館で多く飼われているフンボルトペンギンはチリが故郷です。彼らはサボテンが生えてる場所が故郷なんです。ペンギンといえば氷の上というイメージをガラッと変えてくれるのがフンボルトペンギン
ちなみに日本は世界でも例を見ないペンギン大国だそうです。2400羽以上も飼育されておりこれは世界一の数字。そのうちフンボルトペンギンは1200羽以上でこちらも世界一。アメリカやヨーロッパでは繁殖するのが難しいフンボルトペンギンが何故か日本では上手に繁殖をしてこの数字になったとのこと。こんなにもたくさんのペンギンを見ることができる日本国内を見てるといまいちピンとこないけれど、野生のフンボルトペンギンは絶滅の危機にあるそうです*1。異常気象や漁業問題などで生息地がどんどん少なくなっていっているのです。そこで動物園水族館関係者がフンボルトペンギン保護のために生息地視察をする活動をしているのです。
著者がいうかわいいペンギン涼しいペンギンというイメージを捨てて、本物のペンギンの姿を見ようという主張には考えなければいけないものがあります。著者は言います、ペンギンは気高く美しい生き物なのだと。動物園や水族館での展示の仕方や日本でペンギンが飼われるようになった経緯やその責任、環境保護などにも踏み入っていてなかなか面白かったです。文章は優しくわかりやすくを心がけて書かれているものの、書いてある内容は子供向けとは思えないくらい深い本でした。子供向けだからといってこの程度でいいかっていうのがなくてそういうとこがステキだなあと感じました。子供きっかけだったけど読んでよかった本です。ノンフィクションだけではなく、小説も書かれているので今度はそちらも読んでみたいな。

*1:大体1万羽から2万羽の間をいったりきたりしているそう。そう思うと日本で1200羽ものフンボルトペンギンが飼育されているのってすごいことだと思う。