かわいそうだね?

かわいそうだね?

かわいそうだね?

彼氏が何故か元カノと同居することになった事に戸惑うOL樹理絵を描いた「かわいそうだね?」、美人の亜美ちゃんとその友達さかきちゃんの友情を描いた「亜美ちゃんは美人」の2編を収録。ここに収録されている2作とも主人公は自分を偽ってる人なんですよね。樹理絵は本当は彼に元カノとの同居をやめてほしいと言いたいものの、彼との関係が終わるのがいやで元カノを許容している状態です。さかきちゃんは高校で出会った亜美ちゃんが本当は好きではないのに友達として振舞い続けています。この本はそういう女の物語なんです。どちらの話も終盤で彼女たちは自分を偽るのをやめます。そこのとこの気づきの部分がなるほどなーという感じ。
綿矢さんの描く物語は著作を重ねるにつれて、より女性のほうを見て物語を紡いでいってるような気がします。女の持つ業みたいなのを丁寧に浮かび上がらせてゾワっとさせるのが上手になったというか。たぶんだけど、男性はこういう物語は必要ではないような気がするのです。