ひらいて

ひらいて

ひらいて

中学の時からひそかに絆を深めていた2人に横恋慕する女子高生の話。乱暴にまとめるとこんな感じになってしまうんだけど、綿矢作品の中に脈々と受け継がれてる女の攻撃性がいかんとなく発揮されている本です。横恋慕の仕方がこれまたえげつないというか。そっちか、そっちにいってしまうのかと読みながらひやひやぞくぞくしてました。

正しい道を選ぶのが、正しい。でも正しい道しか選べなければ、なぜ生きてるのかわからない。

私は綿矢さんのこういう言語感覚が好き。この本は意識的に描写ではない誌的な文章をいれるようにしたそうだけど、そういうのが浮くのかといえば割とうまく馴染んでて面白いなあと思います。
『夢を与える』で私は一度綿矢さんにがっかりしたことがあります。あの綿谷りさが普通の小説書いちゃったのかーって。でも、もしかしたら今読み返したら違うのかもしれないなあとちょっと考えたりします。新しい発見が得られるのかそうではないのかはわからないけれど、再読してみたいです。