ノーマジーン

ノーマジーン

ノーマジーン

終末思想の蔓延した近未来を舞台に車椅子の女性と子供程度の知能を持った人間の言葉を喋る赤毛のサルとの物語。寓話ミステリとして売り出されてるけど、ミステリとして読まないほうのがより物語が楽しめるのではないのかと思いました。どうしてもミステリといわれると謎解きの部分を期待しちゃうけど、そういう本じゃないんですよね。シズカとノーマジーンの不器用がメインの本だと思うんです。もちろん、ミステリ的な部分はあります。シズカとノーマジーンの間を知らずにつないでたものについてはなんともいえません。けどこの部分はミステリとしてのカタルシスをえるためのものではなく、あくまで一人と1匹の物語のドラマティックさを盛り上げる側面のが強いと思うのです。
初野作品って優しいとこが好きなのだけど、ただ優しいだけではなく残酷な優しさだったりするので読むと胸がギュギュッとなります。優しいだけじゃ、世界は成り立たない。