トップスケーターの流儀 中野友加里が聞く9人のリアルストーリー

元トップスケーターでフジテレビ社員である中野さんによるトップスケーター9人との対談集。2010年に現役引退後、彼女はフジテレビに入社し映画制作部へ配属されます。入社後2年半たったところでスポーツ局に異動になり現在はすぽると!でADをしています。彼女が入社後最初に配属されたのが映画制作部だと知った時、フジテレビはわかってないなあせっかく元トップアスリートが入ってきたのに何故彼女の経歴を生かすような配属をしなかったのかと思ったのを覚えています。だけど、決してこの選択が間違いだったというわけではないんですよね。なぜなら彼女はまえがきでこのように語っています。

でももし、選手を引退してすぐにスポーツの仕事をしていたら……私はとんでもなく失礼な記者になっていたかもしれません。まだ選手としての感覚も残っている状態で、突っ込んではいけないところも平気で聞いていたかもしれないですし、「私だってまだまだ滑れるんじゃないの? 彼らにだって負けてないかも?」なんて考えがよぎってしまったかもしれません。
そういう意味では2年半、映画のお仕事をさせてもらった期間は、一歩引いた目線でもう一度選手たちに接するための時間だったのかな、と思います。

遠回りに見えてもそれが本当に遠回りだったのかは時間がたたないとわからないものなんだよなあと改めて感じました。まっすぐに最短距離で進まなかったからこそ、見えてくるものというのもあるんですよね。中野さんが少し距離を置いたことによって見えてきたものがあるというふうに感じているのを知ってなるほどなあと思います。
今回対談したのは、女子は佳菜子あっこ美姫真央、男子は織田高橋小塚無良羽生。シーズンイン前の6月から8月にかけて対談をしています。興味深かったのはこづの3枠に対する考え方。見てるとなんで3枠しかないんだろう枠足りないよ!って思っちゃうけど、3枠もあるっていうふうにとらえてるんですよね。なるほどなーと。1枠や2枠じゃなくてよかった、だって3枠あるじゃないかってそう思えるのは強いよなあと思います。オリンピック代表選考ワールド代表選考と悔しい思いをしたけれど、こういうふうに考えられるこづならば必ず次のチャンスを勝ち取ってくれるんじゃないのかなって感じました。
あとはループ苦手な佳菜子がループ得意な雅ちゃんにどうやったら跳べるのかと聞いたら「空気を読めばできる」と言われた話とかが面白かったかな(笑) ループを跳ぶ空気って何なのでしょうかねえ。昨年から3Aに取り組み始めた雅ちゃん、全日本で挑んできてこれは時間の問題で試合で成功するのではないのかなって感じたんだけど、きっと3Aも空気を読めばできるんでしょうねえ、楽しみだ。織田くんが13年国体で初めてジャンプの計算ができた話を嬉しそうにしてるのとかも人柄出てて面白いなあって思いました。
元スケーターだった中野さんだからこそできる対談だったなあと思います。ぜひとも第2弾第3弾もやっていただきたいものです。その際は今回対談したメンバーと更につっこんだ話をして欲しいのもあるけど今回対談してない選手ともやって欲しいなあって思います。まっちーとの対談も読んでみたいしまだ若い次世代スケーター達との話も読んでみたいな。真凛ちゃんがもう少し大きくなってスケーターとして飛躍するようになったら面白い話が聞けると思うんだけど。以前、長島三奈と番組で対談してたときに「フィギュアスケートというのは本来は滑りそのものを見せる競技、ジャンプは飾り*1」という名言を繰り出してたので元トップ選手の中野さんとならば更に引き出せると思うんですよ。4年後くらいにどうでしょうか。

*1:テレビ見てて私度肝抜かれました。真凛ちゃんは小学生ながらも高難度ジャンプも跳べるし3A練習中という情報もあるのでジャンプ厨かと思ってたのです。すげースペシャル小学生だわ、怖い。