醤油と薔薇の日々

醤油と薔薇の日々

醤油と薔薇の日々

93年から94年、2005年から2008年に書かれたエッセイを1冊にまとめたエッセイ本。エッセイの根底にあるのはジェンダー論です。エッセイが書かれた期間に開きはあるけれど、基本に言いたいことはさほど変わってないように感じます。そこには社会の閉塞感もあったりするのかなーなどと思ったり。
面白かったのは占い師を占ったという話。道行く人に声をかけて占いをする勧誘占い師に興味があり時間さえあれば足を止めて話を聞くんだそう。占い師の話を聞いてるうちに何故か占い師を占っていて一度、遅刻をしてしまったそうです。現代社会では誰もが自分の話を聞いてくれる相手を求めています。そのためのひとつの手段として占い師という職業があるのだと思うけど、そんな彼らだって話を聞いてもらいたいのです。現代人がいかに話を聞いてもらう、自己を受け入れてもらうということに飢えているのか。私たちの社会は他人の言葉に耳を貸したり他人を気遣うほどの余裕は持ち合わせていないのかもしれません。