名作うしろ読み

名作うしろ読み

名作うしろ読み

本は読んでいなくても、なぜかみんな知ってる名作文学の書き出し、すなわち「頭」の部分である。では同じ作品のラストの一文、すなわち「お尻」はご存じだろうか」
ご存じじゃない? ですよね。
だったら調べてみようじゃないの。それが本書のコンセプトである。
名作の「頭」ばかりが蝶よ花よともてはやされ、「お尻」が迫害されてきたのはなぜなのか。
「ラスト」がわかっちゃったら、読む楽しみが減る」
「主人公が結末でどうなるのかなんて、読む前から知りたくない」
そんな答えが返ってきそうだ。「ネタばれ」と称して、小説のストーリーや結末を伏せる傾向は、近年、特に強まった。
しかし、あえていいたい。それがなんぼのもんじゃい、と。
お尻がわかったくらいで興味が半減する本など、最初から大した価値はないのである。(略)
私たちは『ハムレット』の最後でハムレットが死ぬことを知っている。『坊っちゃん』のラストで坊ちゃんが四国を去ることも知っている。知っていても『ハムレット』や『坊っちゃん』の魅力が減るなんて事はありえない。きのうきょう出た新刊書じゃないのである。やや強引に定義しなおせば、人々がある程度内容を共有している作品、「お尻」を出しても問題のない作品が「古典」であり「名作」なのだ。

誰もが知っている名作の書き出しの部分ではなく、あえて締めの部分に注目して書評した本。どう締めるのか、それによって余韻も変わってくるし面白い着眼点だなあと思いました。色んな締め方があるけれど、私は物語のさらなる広がりを見せるような終わり方が好きなんだなあと改めて感じました。