くちびるに歌を

くちびるに歌を

くちびるに歌を

五島列島にある中学校の合唱部の話。NコンことNHK全国学校音楽コンクールに向けて頑張る彼らの姿を描いています。物語の舞台は2008年、ということで彼らの歌う課題曲はアンジェラアキの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」。語り手になるのは3人の男女の生徒で、彼らはそれぞれに事情を抱えています。青春なんだけど、青春ってそんなに甘いものじゃない。
課題曲「手紙〜拝啓十五の君へ〜」が小説の中で実にいい仕事をしてくれています。改めて思う、アンジェラアキいい曲書くのね。合唱で聞くとこれはたまらないだろうなあって思います。合唱って独唱とは違ってみんなで歌うからこその面白さがあると同時に難しさもあります。誰か一人だけがうまければいいんじゃなくてみんなで作り上げなきゃいけないから。自分が自分がで前に出るのではなく、どうしたらよいハーモニーをうむことができるのか。何を思って歌うのか。合唱って決して派手ではないんだけど、物語を作る上ではドラマチックに転がせる題材なんだろうなあって思います。
今度ガッキー主演で映画になるとか。ガッキーが演じるのは産休の先生に変わって赴任した音楽教師。なので中学生の目線から書かれた物語を教師目線に書き換えての実写化ということでどう変わるのかなーというのが気になるところです。先生を主人公に変えることによって新たに書き足されるエピソードがあれば、削られる部分もあるでしょう。そこがどう作用するのかが見どころになるのかもしれませんね。