その手をにぎりたい

その手をにぎりたい

その手をにぎりたい

バブル時代の東京を駆け抜けたOLの話。仕事をやめて栃木の実家に帰ろうとしていた青子だが上司に連れて行かれた高級鮨屋すし静によって人生を大きく方向転換してバブルの波に飲まれていきます。はじめはいわゆる普通のOLで普通の女の子であった青子。しかし彼女は徐々に変わっていきます。生き生き輝きながら仕事したり私生活を満喫していたたかと思えば、時代の波に飲まれて疲弊したりもします。そんな中、彼女を支え続けたのがすし静の寿司を食べること。すし職人の彼の握るすしを食べることが彼女のモチベーションとなってまい進していくのです。恋と食への執着が彼女を東京に留め置いた。彼女の生き方をしんどいなあと思いながらも、モチベーションにできる何かを持ち続けられるのは幸せなことなのかもしれないなあと感じます。
柚木さんって食べることが本当に大好きなんだろうなあって思います。食べ物の描写に愛があるもの。いくつかの本で食べ物を小道具に使っているんだけど、そのどれもがおいしそうで小道具としてきらりと光っているのが私は好きだなあと思うのです。